なかみ・みづきの灰だらけ資料庫(書庫)

~夜思う「真っ黒」博士・仲見満月の研究室奥の少し湿った日々~

亡くなった学生の「死亡除籍」と報道問題について~座間事件の「…在籍大学も憤り 「死亡除籍」に母ショック」(日刊スポーツ)ほか)~

<本記事の内容>

1.はじめに

今回は、神奈川県座間市の集合住宅の部屋で、男女合わせた9人の遺体が見つかった事件について、少々、思うところがありました。事件の詳細については、現在進行形で報道されていますが、ここでは詳しく触れないことに致します。理由は、後術致します。

 

本題に行く前に、申し上げたいことがございます。

 

亡くなられた皆様、そしてご遺族の皆さまにつきましては、本記事は大変不愉快で、不謹慎な内容を取り扱うことになりますこと、心より申し訳なく、心苦しく感じております。大変、申し訳ございません。それでも、お伝えしたいことがあって、しばらく悩みましたが、本記事を書くことに致しました。

 

本記事の話題は、タイトルのとおり、大学における「死亡除籍」、および今回の苛烈と私が感じる報道問題について、です。前者については、メインブログとテーマとして、密接に関係していると考えましたが、色々と考えるところがあり、こちらに書くことに致しました。後者の話題は、亡くなった学生の方の経緯、および、そのことから、ご遺族の方が実名や顔写真の報道をしないで欲しいと報道関係者に対して、要請する文書を出したにも拘わらず、報道が続いていることに対する危機感をお伝え致します。

 

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2.亡くなった学生の大学における「死亡除籍」について

一つ目の話題は、不謹慎なことを承知の上でTwitterで指摘しましたが、遺体で身元特定された女子大生の今後の在籍していた大学での書類上の扱いについて、です。

次の日刊スポーツのオンライン版で伝えられたように、「死亡除籍」とされたということ。単位取得状況や大学での活動の記録など、亡くなった学生が「死亡除籍」となった場合、大学でどのような扱いを受けるのか、苛烈な報道によって、私の耳にまで届くことになりました:

亡くなった学生の「在籍大学も憤り 「死亡除籍」に母ショック 」- 社会 : 日刊スポーツ

 

亡くなった学生の方のお名前は、ご遺族の方の報道機関への要請(後に詳述)のことを調べて知りました。その配慮のため、本記事では大学名と合わせて、記載は致しません。

 

さて、この学生さんが在籍した大学は、取材者に対し、「勉強熱心だった様子を語った」そうです。その大学は、学生さんの母親に、亡くなった後のお子さんの扱いについて尋ねられたところ、次のように答えたと日刊スポーツに伝えられています。

母親は9日、警視庁から身元判明の連絡を受けると、実践女子大側に報告後、そう聞いていた。大学側は「死亡除籍となる」と伝えると、母親は「除籍」という言葉にショックを受けていたという。大学側は単位や履修科目など、大学に所属していた記録は残ることを伝えた。母親は「いつ葬儀ができるかも分からない。大学にはご迷惑をお掛けしてすみません」と話したという。

 (更科さん在籍大学も憤り 「死亡除籍」に母ショック - 社会 : 日刊スポーツ)

 箇条書きに整理すると、通っていた学生が亡くなった後の「死亡除籍」とは、

  • 大学側は単位や履修科目など、大学に所属していた記録は残る

ということです。被害者の学生さんは、「9月15日から行方が分からなくなり、同19日、保護者から大学に連絡があった。前期が終わる7月末までは、通常通り授業に出席し、大学への入館記録も残っていた」ということでした。加えて、この学生さんは、日本文学のコースにいて、近代日本文学を授業で学んでいたことが、大学の履修記録にあるとのこと。古文書に出てくる文字にも興味を抱いていたことは、周囲の人たちのインタビューで分かったことで、履修記録にあるかは不明です。

 

が、少なくとも、亡くなった学生さんが、この大学に在籍し、日本文学の授業を熱心に履修していたことは、書類上、亡くなって除籍された形と思われる「死亡除籍」扱いとなっても、記録上、大学でどのような学びをして単位取得し、活動をしていたのか、といったことは残るようです。

 

「死亡除籍」の定義は、大学ごとに異なるかもしれません。しかし、少なくとも、この学生さんがいた大学では、記録上、学生さんの存在を「残す」ことが分かりました。

 

本記事をお読みになっている方で、もし、お子さんが心身が追い詰められて、不安定な場合、休学中に親御さんがご本人に代わって、万が一、座間事件のようなことに関わってしまった時のことを想定され、大学ごとの「死亡除籍」の定義についてもご確認される、といったことを頭の隅に置かれて頂けたら、と思いました。

 

もし、お子さんが行方不明になり、警察などの捜査で「死亡」とされた場合、後で無事、見つかって大学に復学する際、「死亡除籍」とされていたら、手続きがややこしくなる…、ということも十分可能性としてあり得ますので。

 

ということで、「死亡除籍」という一般には聞き慣れないと思われる言葉について、日刊スポーツでオンラン版の記事をもとに書きました。

 

ここからは、大学側が学生さんの母親に対して、「死亡除籍」という言葉を使って、今後のお子さんの書類上の扱いを説明したことについて、私の思うところを書きます。ハッキリ言って、「死亡除籍」という言葉の上をそのまま伝えていたら、お子さんを亡くされた(しかも殺された可能性大)と思われる親御さんには、ネガティブな印象の言葉として大きく突き刺さり、キツかったでしょう。もちろん、「死亡除籍」という言葉をダイレクトに使ってはいない可能性もありますが、例えば、「お子さんが亡くなられ、在籍なさっていた単位履修の記録や活動は記録として残りますが、学籍は除かれることになります」というような、言い回しにしてもよかったのではないかと感じました。

 

 

3.座間事件の被害者と遺族のことに関する報道問題について

 3-1.西日本新聞での状況と一部の報道機関の状態

「死亡除籍」について、説明で挙げたリンク先の日刊スポーツWEB版では、亡くなった学生のお名前、およびご遺族の方のことが記述されています。しかし、ここで座間事件の報道に対して、

座間事件「実名報道はやめて!」黙殺された遺族たちの嘆願 | 女性自身[光文社女性週刊誌]で伝えられているように、

「いちはやく身元が特定された東京都の23歳女性については、11月6日の時点で、遺族が警視庁を通じて、各報道機関に文面を送っています。それは《亡くなった娘の氏名報道はお断りするとともに……》という一文で始まるものでした」

 

(中略〉

《今後とも本人及び家族の実名の報道、顔写真の公開、学校や友人、親族の職場等への取材も一切お断り致します》(群馬県の15歳高校1年生の遺族たち)
 
このように被害者遺族たちが団結して強く要請したにも関わらず、実名・顔写真報道は続けられたのだ。

(座間事件「実名報道はやめて!」黙殺された遺族たちの嘆願 | 女性自身[光文社女性週刊誌])

と、ご遺族の方が警視庁等を通じ、または報道機関に直接、亡くなった方々の実名や顔写真を公開しないで、と要請されました。本記事では、そのお気持ちに従って、亡くなった学生さんのお名前、および大学の名前を本記事には掲載しませんでした*1

 

座間事件に対し、どの程度、詳しく被害者や遺族の方々のことを報道で伝えるのか、新聞社や報道機関によって、対応が異なるようです。

 

<座間9遺体>顔写真報道に賛否、新聞社の葛藤 西日本新聞社会部長 (西日本新聞) - Yahoo!ニュースでは、次のような議論が社内であったようです。

<座間9遺体>顔写真報道に賛否、新聞社の葛藤 西日本新聞社会部長
11/14(火) 11:50配信

 

 神奈川県座間市のアパートで9人の遺体が見つかった事件の報道で、被害者の顔写真掲載を巡り賛否の議論が起きています。被害者遺族の心情を踏みにじるものだという厳しい批判も出ています。

 

 事件の容疑者と被害者は、ネット上で「自殺」という言葉が接点になった特異な背景があります。遺体の状況も、これ以上ないむごいものです。被害者には高校生も3人いました。

 

 事件報道では、常に被害者の顔写真を掲載するか否か、悩ましい判断が迫られます。今回の事件は、特に慎重に判断すべき事情があるといえます。

 

1枚の顔写真は社会を動かす力に
 西日本新聞は、最初に身元が特定された東京都八王子市の女性(23)について、7日付朝刊で写真掲載を見送りました。共同通信、友好紙の東京新聞から配信された写真は小学生時代のもので、容姿が大きく変わっている可能性が高い上、小学生が被害に遭ったとの誤解を招きかねないと判断したからです。

 

 ただ、9人全員の身元が判明したことを報じる11日付朝刊で、全員の顔写真を掲載するかどうか。社会部内でかなりの議論になりました。

 

 1枚の顔写真は、生身の人間がこの凄惨(せいさん)な事件の被害に遭った、という現実を何より訴え掛けてきます。どうすればこの種の犯罪を防ぐことができるかと、社会を動かす力にもなります。

 

正しい判断だったのか
 一方で、東京新聞によると、多くの被害者遺族から顔写真や実名の報道を控えるよう要請がきています。その思いは胸に突き刺さります。

 

 社会部の意見は割れ、平行線のままでした。(1)事件の重大性を社会が共有するために、9人全員の写真掲載は1度に限る(2)個別の写真掲載はできるだけ繰り返さない-。現段階ではこう結論付け、11日付朝刊に載せました。

 

 正しい判断だったのか、一切の顔写真掲載を避ける判断もあったのではないか。正解は見えず、社内の議論は続いています。(西日本新聞社会部長・宮崎昌治)

=2017/11/14付 西日本新聞朝刊=

西日本新聞社

<座間9遺体>顔写真報道に賛否、新聞社の葛藤 西日本新聞社会部長 (西日本新聞) - Yahoo!ニュース西日本新聞

 

西日本新聞の宮崎さんによる上記の記事は、各新聞社の対応や顔写真や実名報道を控える要請が来ている状況を一部、伝えているため、今回の報道のされ方が「苛烈」なのではないか、と感じた私は転載致しました。

 

 3-2.座間事件が報道され続けることの問題

私個人が色々とネットのオンラインニュースを中心に調べ、合わせたところでは、容疑者は、SNSに「生きづらい気持ち」を吐き出していたとされる人たちに、近づく。あるいは、連絡してくるように仕向け、実際に会って命を奪い、座間の集合住宅の部屋に遺体を遺棄していた――。ということです。

 

先の学生さんに関して、私の思うところ、取材者に対して、その大学の教員は「話を聞くと、更科さんには大学に居場所があった。『死にたい』と思っていたとは思えない。憤りを感じる」と声を詰まらせた」と、様子を勝手に述べていたことです。よく気がついて、真面目な学生さんには、自分の抱えている生きづらさ等の「重いこと」を対面で周囲に相談することを遠慮したり、重すぎることを伝えることで周囲に嫌われることに怯えていたり、そういった心理状態にある学生だって、いるかもしれません*2

 

また、生きづらさを抱えている人の中には、対面で周囲の人たちに気持ちを吐き出せなくても、SNS上なら吐き出せる、という人たちも、けっこう、いるようです。SNS上に、「死にたい」とか、「消えてしまいたい」と書き込むことで、何とか精神的に踏ん張っていた人たちの存在は、「#自殺希望」が癒やしとなって生きられた女性の告白 (NEWS ポストセブン) - Yahoo!ニュースにおいて、次のように伝えられています。

 座間9遺体事件では、被害に遭った女性たちのSNSでの「死にたい」というつぶやきに、白石隆浩容疑者がつけこんだことに注目が集まった。これを受け、再発防止を目的として政府がSNS、とくにツイッターの規制を検討していると報じられると、ネットでは「地下に潜るだけでかえって悪質化する」など反発が起きている。そして、「死にたい」とつぶやく当事者たちからも「癒やしの場所を奪わないで欲しい」という声があがっている。

 

(中略)

「死にたいとつぶやくことが、本当に死にたいというわけではない。もうどうしようもないから後は死ぬしかない、でもどうにかなるなら死にたくないし生きていたい、という思い。これは、自殺希望アカウントの中の人に共通する気持ちではないかと思います。それをわかっているから、私たちは自殺志願者同士で集い、相談したり、癒しあったりする」(益子さん)

 (取材を受けている)益子さんのいうように「#死にたい」などと呟くことが癒しであり、生き延びるための手段だったとすれば、今回、座間の事件で亡くなった被害者の心境が、余計に理解しづらくなる。確かに容疑者の供述によれば、被害者の誰一人もが本当は死にたいとは思っていなかった。ならば、それでも「殺してあげる」という容疑者と会ったというのは、「#死にたい」と言うけれど本当は死にたくないという思いと矛盾が生じるのではないか。

 (「#自殺希望」が癒やしとなって生きられた女性の告白 (NEWS ポストセブン) - Yahoo!ニュース

 

そう、「消えてしまいたい」、「いなくなりたい」といった言葉も含めて、つぶやくことで、生きづらい今を乗り越えようとしている人たちの存在。必要なのは、こういった「生きづらさ」から生じる書き込みを規制することではなく、次のような、コミュニティや団体に生きづらさを抱えた人たちが繋がる仕組みなのではないでしょうか?:

www.asahi.com

 

座間事件の報道の「苛烈さ」が増すことで、「生きづらさ」を抱える人たちが何とか踏ん張る手段を奪うことになる可能性を、私は危惧しております。

 

 

4.最後に

以上、亡くなった学生の「死亡除籍」の件、および、座間事件の報道問題について、思うところを書かせて頂きました。

 

第3項については、最後にリンクを貼った「座間の事件「彼女たちは決して、特別な存在ではない」:朝日新聞デジタル」の記事末にあった相談窓口を転載させて頂きます。

■若者向けの相談窓口

●BONDプロジェクト(10~20代の女性向け)

(相談用メールアドレス)hear@bondproject.jp

(HP)bondproject.jp/

●Colabo(女子中高生向け)

(相談用メールアドレス)info@colabo-official.net

(HP)www.colabo-official.net/

●日本子どもソーシャルワーク協会

(電話相談)03-5727-2133(平日の9:00~18:00)

(HP)www.jcsw.jp/

 

(座間の事件「彼女たちは決して、特別な存在ではない」:朝日新聞デジタル)

 

合わせて、生きづらさを抱え続け、「自ら逝ってしまいそうになっているほど、「病んでしまった」人を見つけるサインを示し」ている人が周囲にいたら、どう判断したらよいか?また、大学側はどのように学生たちのことを把握したらよいか?先日、書いた記事のリンクを貼って、本記事を閉めさせて頂きます。

 

naka3-3dsuki.hatenablog.com

 

最後となりますが、この事件で亡くなられた方々に、心から哀悼の意を申し上げます。

 

 

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*1:

更に、被害者の遺族の方々が報道を控える要請をしたのには、

「遺族に配慮して匿名報道を続けたのは一部のスポーツ紙ぐらいでした。遺族たちがここまで強く要請した背景には、座間事件が抱える2つの特別な事情があります。1つは、“死にたい”などと語っていた被害者たちがいたこと。もう1つは、白石容疑者が被害者女性たちに性的暴行を加えていたと、供述していることです」(前出・社会部記者)

(座間事件「実名報道はやめて!」黙殺された遺族たちの嘆願 | 女性自身[光文社女性週刊誌])

という、いわゆる「生きづらさ」を抱えていた被害者に対する問題、容疑者が被害者に行った性的な暴行を加えていた供述があるということが考えられます。私も、これらの部分を考慮しました。

*2:こちら:メンヘラと関係性の貧困について。私たちはなぜ社会から孤立するのか - メンヘラ.jpの「■メンヘラの人間関係が貧困化しやすい理由」の「3悩みが重すぎて相談できない」参照。

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