【メモ】法律等のおける小中高の学校図書館と大学図書館の違い~学校図書館法の冒頭を中心に~
<本記事の内容>
1.はじめに
昨日、更新した高知県立大学の大学図書館の蔵書除却問題の記事:
で、法律や文科省の出した文書で、大学図書館の位置づけを取り上げました。
件の問題のせいか、私のTwitterのTLに最近、2014年の大阪の学校図書館に関するニュースがあがってきています:
↑の大阪の府立高校における問題の概要は、以下のようになっています。
府立高校の約2割にあたる24校の図書館が、昼休みや放課後などに生徒が利用できない「開かずの図書館」状態にあることがわかった。2009年の行政改革で、専任の学校司書が廃止され、業務を割り振られた教職員の手が回らないことが原因だという。
学校司書の専任としての配置廃止の問題は、読者各位に上のリンクからお読み頂くとして、本記事では、法律等における小中高の学校図書館と大学図書館の違いに関して、さらっと、学校図書館法の最初のほうを読み、メモ程度に書きとどめたいと思います。
ところで、「仲見満月の研究室」ブログで書かず、こっちの資料庫ブログに学校図書館のことを書く理由は、基本的に高校までの学校教育の話題は、こちらのブログで書く方針にしているからです。一応、説明しときます。
2.法律等のおける小中高の学校図書館と大学図書館の違い
●小中高の学校図書館:学校図書館法(昭和二十八年法律第百八十五号)において設置目的が説明され、法的に定義されている
●大学図書館:学校教育法に定義されている教育機関・大学*2が、文科省(前身の省庁含む)の出した「大学設置基準」の第36条の第3項目において、大学が有する専用の施設として挙がっている*3
ということがあります。学校図書館法が対象とし、その第1条において定義され、第2条で「学校図書館は、こういう学校に設置され、こういう機能をもつ施設ですよ」と説明されています。その第2条には、
第二条 この法律において「学校図書館」とは、小学校(義務教育学校の前期課程及び特別支援学校の小学部を含む。)、中学校(義務教育学校の後期課程、中等教育学校の前期課程及び特別支援学校の中学部を含む。)及び高等学校(中等教育学校の後期課程及び特別支援学校の高等部を含む。)(以下「学校」という。)において、図書、視覚聴覚教育の資料その他学校教育に必要な資料(以下「図書館資料」という。)を収集し、整理し、及び保存し、これを児童又は生徒及び教員の利用に供することによつて、学校の教育課程の展開に寄与するとともに、児童又は生徒の健全な教養を育成することを目的として設けられる学校の設備をいう。
(http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=328AC1000000185)
と書かれています。それによると、小中高、およびそれに相当する教育課程の教育機関に設置されるのが学校図書館であり、続く第3条では「学校には、学校図書館を設けなければならない」と、設置が義務づけられていることが分かります。
この法の続きには、学校図書館の動かし方について、
- 「学校図書館の運営」を示した第4条には「第四条 学校は、おおむね左の各号に掲げるような方法によって、学校図書館を児童又は生徒及び教員の利用に供するものとする」
- 「司書教諭」の設置に関する第5条には「学校には、学校図書館の専門的職務を掌らせるため、司書教諭を置かなければならない」
といこうとが、示されていました。第4条の具体的な「利用に供する」ための方法を読むと、その機能のイメージは、私は、学校図書館の機能は大学図書館のそれに近い感じがしました。特に、第2条の「児童又は生徒の健全な教養を育成することを目的として」いるところは、大学図書館のラーニング・コモンズの目的(や役割)と重なってくるのではないでしょうか。
3.最後に
以上、非常にさらっとですが、法律等のおける小中高の学校図書館と大学図書館の違いをメモ程度に書きました。
なお、ここに書いたことは、各教育機関の図書館がもっている一部でしかありません。それぞれ、他にどういった役割や機能をもっているか、知りたい方は、上記のリンク先の法や文書、拙記事などに移動しながら、ご自身で調べられると新しいことが分かるかもしれません。
おしまい。
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*1:便宜的にここでは「図書室」と呼ばれる存在を含みます。
*2:
学校教育法に基づく、大学は「学術の中心として、広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究し、知的、道徳的及び応用的能力を展開させることを目的(第83条1項)」とし、「その目的を実現するための教育研究を行い、その成果を広く社会に提供することにより、社会の発展に寄与するものとする(第83条2項)」高等教育機関で、異本的には「学部を置くことを常例」とし(第85条)、「大学の修業年限は、四年」(第87条)です。大学を卒業すると授与される学位は、学士です(第104条)。
(専門職大学の創設に関する私見~キャリアの多様性における「学位」授与の重要性~ - なかみ・みづきの灰だらけ資料庫(書庫))
*3:
第36条 大学は、その組織及び規模に応じ、少なくとも次に掲げる専用の施設を備えた校舎を有するものとする。ただし、特別の事情があり、かつ、教育研究に支障がないと認められるときは、この限りでない。
一 学長室、会議室、事務室
二 研究室、教室(講義室、演習室、実験・実習室等とする。)
三 図書館、医務室、学生自習室、学生控室