なかみ・みづきの灰だらけ資料庫(書庫)

~仲見満月が言葉を折る灰色の部屋~

公共図書館のベストセラー作品の購入・配架について~2020年1月3日の日記~

たびたび、私の周りで見かける話で、(主に公共)図書館に関する話題があります。それは「ベストセラーを図書館が購入すべきでも、置いとくべきではない」というテーマのもの。大学生院生の時、司書課程の課題レポートで出された長文で近いエッセイを読まされたので1回、Twitterを始めてからタイムラインで見かけたのが2~3回くらいでしょうか。

 

仲見の個人的な見解としては、「現時点では頷きづらいかな?」という話です。最近、Twitterで見かけた意見を挙げれば、「市民の利用する公共図書館は、未来に利用する人たちに向けて、今のベストセラーは置かないようにし、郷土資料のような良書を残すべきことが重要」というような内容がツイートにありました。以下に少し、私の意見を書きます。


まず、自治体立を含む公共図書館の場合、現在の利用者のリクエストを受けた時点で、その資料がベストセラーである作品だとして。その図書館の未来の利用者にとって、そのベストセラー作品は評価の低い資料となるか否かは、現在の時点では分からないのでは?という問題があります。言葉を足して、自分が申し上げたいことは、つまり「未来において、現時点でのベストセラー作品が高い評価を受けるか否か、今の時点で判断ができない。それなのに、未来の利用者のことまで考え、その作品を現在の公共図書館が購入し、配架することの是非を考えることは、ナンセンスなんじゃないか?」ということ。

 

とりあえず、公共図書館は今の利用者のリクエストに沿って、ある程度、図書資料を中心に購入・配架するといのうが、現実的な役割でしょう。

 

たとえば、大学図書館児童図書館など、専門分野に特化した図書館なら、選書に明確な基準を設け、その上で置く資料を決める役割が挙げられます。そういう専門分野の資料を扱う図書館であれば、購入・配架する図書資料が制限されていたとしても、私は納得します。

 

それに対して、市民に利用される公共図書館の場合、私は少なくとも「専門的な資料ばかりを選択して置くべき役割は、公共図書館の役割とは異なることでしょう」と考えます。利用者に合わせた資料を揃えるのは、意義があることかと。

 

次に、種類ごとの図書館の役割に加えて、建物としての図書館のスペース限界を考えてみます。たとえば、国立国会図書館のような「世に出ている資料は全て、保存する」というレベルで資料の収集を目的に掲げている図書館だったら、多様な資料を保存したり、配架して公開したりしやすいでしょう。一方、スペース的に小さな公共図書館では、どんなに「良書」とされるものでも、いずれは廃棄しないといけないものは出てきます。

 

それらライブラリーで収集対象となるもの。大まかには、書籍(最近やとオーディオブックも)、CDやDVD等の円盤型記憶媒体、最近ではボードゲームといった資料について、どれを所蔵・保存して公開・利用にするかは、時代にもよるでしょう。あちこちの図書館で広く、利用者のリクエストに応じて、ある程度は同じ資料を所蔵するのは大切だと思います。

 

また、図書館が教育の場であるのならば。広く市民に楽しまれている作品について、主に高校でその作品を媒介に授業をした身として、もう一言、言わせて下さい。

 

学校図書館自治体の図書館で、気軽に借りられるレベルで複本がなかったら、生徒が興味を持ったとき、自分でその作品を読んで学ぶことは難しいのでは?と私は考えます。自分は学校の図書室に置いてある本を借りてきて、世界史の授業内でその本が歴史上の出来事と関連のある事項を絡めて紹介し、生徒たちの席に回しておりました。

 

もし、私が次に授業をする機会があれば、FGOのゲーム内で紫式部が登場するエピソードを選び、そのノベライズ作品が勤務校の図書室にあれば、国語の古文や日本史の平安時代の単元と絡めて、授業で扱ってたと思います。

FGOミステリー 惑う鳴鳳荘の考察 鳴鳳荘殺人事件 (星海社FICTIONS)

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  • 作者:円居 挽
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2019/05/25
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紫式部の登場するエピソードには、百人一首にとられた彼女の歌に絡んだ展開もあるんですよね。知ってると知らないのとで、日本の古典文学や歴史に対する面白さは大きく変わるかもしれません。

 

だいたい、書きたいことは書いたので、ここで筆を置きます。最後までお付き合い頂き、ありがとうございました!

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